『愛と死をみつめて』読了

ドラマの感じとは少し違っていた。ミコは相当しっかりした人だったようだ。それに較べてマコは子供の考えがまだ抜けていない。もっとも、何歳になっても男は皆そうかも知れないが(笑)。

二人の恋の間には二つの大きな障壁が立ちはだかっていた。
・ミコの病気
・東京(または伊那)〜大阪という距離
ところが私が感じたのは、この二つのいずれが欠けてもこの恋は成立しなかったのではないかという事だ。

阪大病院で出会った二入には、病気が無ければ知り合うきっかけが当然もたらされなかったとは言え、ミコが不治の病でなかったとしたらどうであったろうか? 高嶺の花だったミコをあそこまでマコは慕っただろうか? あるいはその逆に、しっかり者のミコはあそこまでマコに頼ろうとしたか?

二人が離れていなかったら手紙のやりとりは無かっただろう。そうだとして、お互いにあそこまで深く理解し合えただろうか? 書くのに時間がかかり届くまでに更に日数を要する手紙であったからこそ自らの内面を冷静に見つめ、そして相手の心をおもんばかる事が出来たのではないか、強くそう感じた。もちろん、時間がもどかしく感じられる場合は電話も使っていた。顔は見えないが声を聞く事によって相手の心情を計る。これも恋愛感情を隆起させる要素だったのではないか。

私自身妻とは超遠距離恋愛だった。なぜなら相手は外国に住み、しかも異なる言語を話す人だったからだ。しかしその物理的な障壁が、心の距離を縮めようとする行動の後押しをしたように思う。人間とはそういうものではないか。